著者コメント

　じつは僕には“幻の最初の著書”というのがありました。当時、日本語版がスタークラフト社から発売されてひそかに人気を集めはじめていた、海外製のアドベンチャーゲーム――『ウィザード＆プリンセス』や『ミッション：アステロイド』『ミステリーハウス』『ユリシーズ』『クランストン・マナー』などの攻略法をまとめた書籍というのを、某Ｎ社から発刊することになっていたのです。はじめての自分の著書、ということで、かなり気合いを入れて、ものすごい文字量を書いたように記憶しています。そして、すべての原稿が完成。あとは発売を待つばかり、となったのですが、1ヵ月ほどたっても、Ｎ社から何の連絡も入ってきません。もう見本誌があがっていてもおかしくないのになと思いつつ、担当編集者に電話を入れてみると、予想だにしなかった言葉が返ってきました。「じつは、ウチの会社は倒産してしまってね。山下クンの本は出せないことになってしまったんだよ」。ならば、ほかの出版社に持ちこみたいので原稿を返してくださいと頼んだところ、「いや、あの原稿はすべて債権者に担保として取り上げられて、もう僕らにはどうすることもできないんだ」と冷たく言い放たれました。そのころは、まだワープロは普及しておらず、原稿はすべて手書きでした。膨大な量だっただけに、いちいちコピーを取ったりもしていなかったので、僕の手元に残っていたものはゼロ。いまであれば、その債権者と交渉して原稿を取り返したのかもしれませんが、当時19歳だった僕は、なんともあきらめが良く、ならばもう一度あの原稿を書けばいいや、と思ってＮ社との関係をスパッと断ってしまったのでした（結局、以後その原稿が書き直されることはなかったわけですが）。
　そんな“幻の最初の著書”や、「アドベンチャーゲーム必勝本」という世間の荒波にもまれたのち、ようやく本当の意味で著者あつかいを受けながら発刊してもらえたのが、この「チャレンジ!! パソコン・アドベンチャー・ゲーム」です。それだけに、本が手元に届いたときの喜びはひとしおで、さらに、結構な部数を刷っていたにもかかわらず、発売日の当日昼に増刷が決まるという異常な売れ具合を聞いたときには、いたく感激しました。心配性の母から「こういうときこそ交通事故に気をつけなさい」と言われたのも懐かしい思い出です。

CONTENTS

★第1章：実践アドベンチャー・ゲーム講座
　　ゲームの分類
　　マップ作りテクニック
　　ナゾ解きテクニック

★第2章：チャレンジ！ 秀作アドベンチャー・ゲーム
　　サザンクロス
　　新竹取物語
　　ポートピア連続殺人事件
　　ザース
　　ウイングマン
　　軽井沢誘拐案内
　　エルドラド伝奇
　　デゼニランド
　　サラダの国のトマト姫
　　黄金の墓
　　続・黄金の墓
　　ドリームランド
　　英雄伝説サーガ
　　は～りぃふぉっくす
　　アステカ
　　機動戦士ガンダムI
　　機動戦士ガンダムII
　　トランシルバニア
　　リング・クエスト
　　ウィル
　　ミコとアケミのジャングル・アドベンチャー
　　惑星メフィウス
　　暗黒星雲
　　テラ4001
　　VHD版惑星メフィウス

★第3章：チャレンジ！ ロールプレイング・ゲーム
　　ブラックオニキス
　　ハイドライド
　　ハイドライドII

★第4章：アドベンチャー・ゲーム・ソフト総カタログ

★第5章：アドベンチャー・ゲームはこうして創られる
　　　　　　Written by　システムソフト

★第6章：レスキュー・アドベンチャー

★資料編：AVG攻略用ホワイトマップ