出版・編集 | スクウェア・エニックス |
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著 | スタジオベントスタッフ |
発売日 | 2004年12月17日 |
価格 | 1,238円+税 |
判型 | A5判 |
ページ数 | 352ページ(オールカラー) |
書籍コード | ISBN4-7575-1344-5 |
ディズニーとスクウェア・エニックスのコラボレーション作品『キングダム ハーツ』の続編である、ゲームボーイアドバンス用RPGを徹底解析。ソラ編とリク編それぞれのシナリオの詳細な攻略法、ゲーム進行のカギをにぎる全136種類のカードの効果や入手方法、ラストボスを含めた全エネミーのデータや戦いかたなど、あらゆる情報を収録している。開発スタッフへのインタビューやシナリオ考察などの読み物も充実。「キングダム ハーツ トレーディングカードゲーム スペシャルポスター」と、「ソラ“クリスマスVer.”」特別限定カードという2大特典つき。
(C) Disney Enterprise,Inc.
Developed by SQUARE ENIX/Jupiter
(C) 2005 SQUARE ENIX CO.,LTD. All Rights Reserved.
アルティマニアシリーズから弊社制作の本を読みはじめた、というかたはご存知ないかもしれませんが、ベントスタッフが最初のころに作っていた攻略本は、ほとんどが対戦格闘ゲームを題材にしたものだったりします。なので、本作のようなアクション性のあるゲームの本を作っていると、あの当時の血がうずき出すと言いますか……。この本では、ソラとリクの技解説やエネミーの攻撃データの欄で、全技をモーション分解写真とともに紹介しているあたりに、初期のベントスタッフっぽさを隠し味として入れてあります。さすがに、ゲームの性格を考えて、タイムチャートは掲載しませんでしたけど(笑)。ちなみに、社内の新刊企画会議では、いまなお「対戦格闘ゲームの本が作りたい」という声があがるんですよ。機会があれば、いつの日にか……?
このゲームのおかげで、GBAやGBASPでアクションゲームを遊ぶときの操作のコツを会得できました。が、本の制作がはじまったころに開発途中バージョンをプレイしたとき、アースラの倒しかたがわからず1時間くらい戦っていたのは秘密(製品版とは倒しかたがちがっていたのです)。東京ゲームショウで配布していた『キングダム ハーツ』カードゲームのプロモーションカードを、4枚ももらったのも秘密。
従来のカードゲームと同じで、デッキの流行があったり、スタッフごとに好みのデッキがちがっていたりするのがおもしろかったですね。そんな私のお気に入りは、ストック技『ザンテツケン』を主力としたロックデッキ(相手の動きを完全に封じるデッキの総称)。黒コートのかたがたを「カードをリロードするだけの人」に変えるのはじつに爽快でした。
この本では、慣れ親しんでいるシナリオ攻略に加えて、ワールド紹介やキャラクター紹介のテキストも書くことになった。文体をつかむのに苦労しそうだな……と最初は不安だったが、このゲームに出てくるディズニー作品は、「キングダム ハーツ アルティマニア」を制作するよりも前からDVDなどを集めていたので、自分としては楽しんで仕事をできた。新しくタッグを組んだウァンさんのデザインも作品のイメージにピッタリで、かなりのお気に入りの一冊だ。
『ファイアレイド』『ブリザドレイド』強ぇー、な気持ちが、攻略法にも反映されちゃいました。やっぱ、一気に大ダメージを与えるのは気持ちいいよね。そして、『ファイアレイド』数回で沈むヴィクセンに合掌。
このソフトのすばらしさは、『キングダム ハーツ』の爽快感をGBAで見事に再現したのはもちろんなのですが、携帯ゲーム機ならではの「いつでもどこでも遊べる」工夫ではないでしょうか。とくに、「何かを集めること」が大好きな私は、つねにGBAを持ち歩き、わずかな時間も惜しんで、ひたすらカードを集めたりしたものです。また、リク編はカード集めこそできませんが、ソラの物語を舞台裏から見るような視点が絶妙で、何度プレイしたか数え切れません。ちなみに、仕事的にも技表という、ALL ABOUT シリーズを作りたくて入社した私に向いているパートの担当だったのも、うれしいところでした。
ヴィクセンに5回連続で負け、必勝を期して『ザンテツケン』で敵のカードを全部なくしてしまう、いわゆる「デッキ破壊」デッキを作りました。アクションゲームが苦手でも強敵に勝てる、画期的なデッキだ!とか息巻いていたのですが、エリクサーのカードという伏兵の前にあえなく撃沈。ならば、と対策を練っては何度も挑戦し、ようやくデッキの完全破壊をなしとげたところで出た結論、「ふつうに戦ったほうがはるかにラクに倒せる」。努力はムダになったわけですが、シークレットのネタ(バトル編の1番)が見つかったので良しとします。
進行途中のある日、そろそろ寒くなってきたと思ってコートを着て出かけました。で、会社で言われたひとこと。「なんか、それって“機関”の人みたいだね」……うーん、たしかにフード付きで足元まである黒のロングコートなのですが……。でも、これは去年の冬物処分市で買った品なわけで、断じてコスプレなんかじゃありませんヨ。
ゲームキューブ+ゲームボーイプレイヤーでアナログコントローラを使ってこのゲームをプレイしていると、ストックのさいにL+Rトリガーボタンを同時に押しそこね、デッキが回転してズレてしまうことがありました。そこで私が採用したのは、ファミコン時代から愛してやまないホリさんが作ったデジタルコントローラ。この会社は、昔からかなり奇抜なアイデア商品を作っているのですが、今回のこのコントローラにかぎっては、いたってシンプルでした。マニアとしては少し物足りない(?)ですが。ホリさんの真髄が知りたいのなら、公式サイトの『ペリボーグ』という企画を一読するといいかと思います。いろいろとアリエナイので(笑)。
100エーカーの森のカードは、ワールド選択画面では絵本の表紙が真っ白なのですが、そのあとのメニュー画面では表紙にソラとプーさんのイラストが入ったものを見ることができます。かわいかったので、本書のカードリストにはイラスト入りのほうを使用しました。
「キングダム ハーツ アルティマニア」は、仕事がとても楽しく、本も良い雰囲気に仕上がって満足でしたが、この本はそのさらに上を行けた!と自負しています。文字サイズを上げ文字量を減らして見た目窮屈ではないものを目指した努力と、ウァンさんのステキなデザインがうまくマッチしたのではないか、と(あがってきたレイアウトをデスクトップに飾ってニヤニヤしてたくらいお気に入り)。例によって締め切りギリギリまでグズっていたのですが、終盤にアイデアをポコッとひらめいた結果、総括ページはいまだかつてないほど満足なデキに仕上がりました。ああ、これでA4サイズの本だったなら……(それって、結局今回も見た目窮屈だってこと!?)。
ついに、あの野村哲也氏に会うことができたのです! インタビューで話を聞いていると、本当にゲームを作ること、そして人を楽しませることが好きなんだぁという思いが伝わってきました。また、私たちユーザーに、よりおもしろいゲームを届けるために企画を練りに練って、妥協はしないという姿勢もすごいなぁ、と。こうやって、ナマで会って話を聞ける機会に恵まれたのは最高でした!!
この本のインタビューで、野村哲也さんと、はじめてお会いすることができた。氏が語ったなかでもっとも印象に残っているのが、「万能ではない不自由さが、ゲームのおもしろさにつながる」というひとこと。このひとことは、「ゲーム」というものの本質的な部分のある一面を、かなり的確に表していると思うのだ。話を聞けば聞くほど、ゲームを作るのが好きだということがストレートに伝わってくるかたで、もし仮に絵が描けなかったとしても、やっぱりゲームクリエイターとして成功していたんだろうと思う。とても楽しいひとときであったよ。