発行 | JICC出版局 |
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著 | 手塚一郎 |
発売日 | 1991年9月 |
価格 | 1,165円+税 |
判型 | B5変形判 |
ページ数 | モノクロ264ページ(「女神ソルジーナ」:90ページ) |
書籍コード | ISBN4-7966-0172-4 |
白状します。「ウィザードリィ小説アンソロジー」の締め切りが1週間後に迫っていたのに、当時のぼくは、まったく構想というものを立てていませんでした。まあ、どうせ締め切りはずるずると延びるんだろうし、などと考えていたわけです。ところが! 佐山さんだけでなく、あの遅筆で有名な(失礼)ベニー松山くんまでもが、すでに原稿を上げているというではありませんか! まさにこの年の重大ニュースのひとつと言えるでしょう。それはさておき、このことでぼくは一気に窮地に立たされました。そこで、本当は長編として考えていた企画を、急遽、アンソロジー用の中編として仕上げることにしました。それが、この「女神ソルジーナ」です。
リルガミンのダンジョンは“死の象徴”であり、同時に莫大な富の眠る宝物庫でもある。多くの冒険者たちは、己の命を危険にさらしながらも、一攫千金を夢見てその死地へと赴く。これが『ウィザードリィI』の物語の骨格ですが、ここに富を目的としない、言わば異端の冒険者が現れたら……という視点が発端だったと記憶しています。生きるために、自分たちの身を危険にさらす、といった感じの内容です。
書きたいものが全部入れられず、ぼく自身不完全燃焼だったこともあり、主要エピソードのほうは、その後「異貌伝」というオリジナルとして、ゲーム誌「HIPPON SUPER!」で連載することになりました。諸事情によりHIPPONから撤退することになったので未完ということになっていますが、一応オチはつけてあります。でも、単行本にはなっていないので探さないでください。