著者コメント
中世ファンタジー風の世界を舞台にした、いわゆるサウンドノベルです。クライアントからの指示で、選択肢が増えるなどのゲーム的(?)な要素を一切排除しており、純粋に読み進めていくタイプのものになっています。
登場人物の「目」の部分だけのグラフィックを表示していますが、これは当初からやりたかったことで、雰囲気がうまく出ていると満足しています。
音楽は、クライズラー&カンパニーにお願いしました。これが、もう素晴らしいデキで、サントラがないことが罪悪であるとさえ思えるほどです。サクセスから「スーパーライト1500」という1,500円のシリーズが出ているのですが、ここにラインナップしていただいたので、サントラ代わりにご購入いただいても、十分に元が取れるんじゃないでしょうか。
この『サイアス』での一番の思い出といえば、年下の若いカメラマン(高瀬くん、元気?)と、たったふたりでスペイン・ロケへ行ったときのことです。ふたりともスペイン語はおろか、英語さえも満足にしゃべれないため、とにかく苦労しました。何とか列車の特急券を取ったものの、今度はその列車が何番線から発車するのかわからないということがありました。駅の係員に聞いても、通行人に尋ねてみても、何だか要領を得ません。それもそのはず、スペインでは「そのときに空いているホームに、つぎの列車が入ってくる」のです。なので、待合広場(?)のようなところでひたすら電光掲示板をながめ、目的の列車の入ってくるホームがわかったら、速攻でそこへ行く、ということになります。日本じゃ考えられんです。6泊にも及ぶロケが終わって、ようやく帰ってこられたときには、日本のよさというものを心の底から実感しました。